あれからのDeNAの取り組み―“効率化”を成長のエンジンに変えるAI経営

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DeNAの南場会長が「AIで業務を半分効率化し、浮いた人材を新規事業へ振り向ける」と打ち出してから、約11か月(記事)。
南場会長が示したのは、AIを「コスト削減の道具」にとどめない経営姿勢でした。AIで仕事を軽くし、その分だけ組織を縮めるのではありません。生まれた時間と人材を“余力”として捉え、次の挑戦へ振り向ける。効率化を成長の原資へ変換するという発想です。

象徴的に語られる「3000人→1500人」という言葉も、論点は人数そのものではありません。「現業を回すために最低限の人数にする」のではなく、「同じ人数でも、より多くのチャレンジを生み出せる状態をつくる」ことにあります。社員にとっても「守りの節約」より「攻めの再配置」のほうが未来が見えます。この点こそ、DeNAがロールモデルとされる所以でしょう。

この一年弱で明らかになったのは、スローガンを運用へ落とし込む設計力です。まず道具を配りました。全社で生成AIを使える環境を整え、社内チャットボットや開発支援ツールを導入し、利用初期のつまずきを潰しました。次に数字を出しました。ライブコミュニティではAI審査などによって目視チェックの作業量を60%超削減し、法務でも**確認に要する時間を約70%**短縮したと公表しています。効果を「感想」ではなく「計測」で語り始めた点は、大きな転換です。人事の目標設定でもAI活用が半数以上に広がり、「使う人だけが得をする段階」から「使うのが当たり前の段階」へ、組織全体を押し上げました。

さらに巧みなのは、個人の工夫を組織の力へ変える仕組みです。日々のAI活用事例を公開し、知見を共有資産として蓄積しました。社内に散らばる“小さな改善”を集めるだけで、年間で見れば相当な工数が戻ってきます。加えて、全社員のAI活用度を可視化する社内指標(DARS)を導入し、半期ごとに目標を設定しました。気合いや掛け声ではなく、“物差し”で回すからこそ、改善が継続します。

「半減」という表現は刺激的ですが、本質は“人を減らす”ことではありません。仕事を分解し、標準化し、AIと人に再配分し、そこで生まれた余力を新規の挑戦に振り向ける。この一連の設計ができるかどうかが問われています。実際DeNAは、社内で培った効率化のノウハウを、AIコンサルやAIエージェント領域といった事業へ接続する動きも同時に進めました。削った分だけ守るのではなく、空いた分だけ打席を増やす。AI時代に必要なのは、節約の巧さではなく、挑戦を増やすための設計図です。

自社で真似するなら、「何%削減したか」を問う前に、「浮いた時間と人材を、どの新しい打席に張るのか」を一枚で書き出すことが先決でしょう。生まれる余力、張る先の新規テーマ、期待する成果、期限、責任者――最低限これだけを決める。そこから逆算して、ツール整備・ルール整備・指標づくりを進めていく。DeNAの取り組みは、その順番の正しさを、言葉と仕組みと数字で示しています。

実践集も役立ちます。PDF

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