先日、DeNAの南場智子会長が「現在の事業に必要な人員を半分にし、もう半分を新規事業に振り向ける。AIにオールインする」という趣旨の大胆な方針を打ち出し、大きな話題を呼びました。しかも「現業を維持・成長させつつ」という条件付き

- AIによる生産性向上
- カスタマーサポートやソフトウェア開発、マーケティング、法務、人事・経営企画など、ホワイトカラー業務が劇的に効率化。
- 経営者自身もAIツール(NotebookLMやPerplexity AIなど)を活用し、初対面の人の情報収集やミーティング後のtodo整理などで大幅に作業が楽に。
- 「10人でユニコーン」は現実化
- 西海岸のAI活用事例では、少人数のスタートアップがユニコーン級の評価を得るケースが急増。
- 一人あたりの生産性が格段に上がり、投資効率や開発速度も高まっている。
- 日米格差と経営者の責務
- 日本ではAIを積極的に使いこなす人の割合がまだ少なく、リスクや課題面の議論に偏りがち。
- 「現場任せ」の部分最適化ではAIの本質的な導入が進まず、痛みを伴う組織改革をトップのリーダーシップで行わなければならない。
- 経営者自身がAIの可能性に「感動し、興奮する」ことが、全社を引っ張る原動力になる。
「DeNAはAIにオールイン」──具体的な戦略
- 経営のAIシフト
- 社員3000人規模の事業運営を「半分の人員」で継続し、そのぶん新規事業創出に大きくリソースを振り向ける。
- AIを使って徹底的に業務プロセスを見直し、生産性を最大化。
- アプリケーションレイヤーに注力
- チップやファウンデーションモデル開発のような巨額投資領域ではなく、AIを活用した最終的な“使われ方”や顧客価値創出に焦点を当てる。
- 特にB向けには「バーティカルAIエージェント」で、各産業・業務のニーズに合わせたソリューションを展開。
- スポーツ・ヘルスケアなどの既存強みを生かしながら他社の技術をM&Aで取り込み、拡大を図る。
- C向けには「没入感」や「エンタメ要素」を取り入れたAIサービスを模索。
- スタートアップ支援とM&Aの加速
- AI領域のスタートアップを積極的に探し、買収(M&A)を活発化。
- 社内で生まれたプロジェクトも独立・スピンアウトを支援し、社外と連携するスタートアップエコシステムを形成。
- 「すべてを自社に囲い込まない」方針で、事業機会を逃さない。
- “第2の創業”としての挑戦
- かつてのインターネット創世記と同様、「確実に来る未来」に思い切って飛び込む。
- クラウドシフトの成功経験をもとに、AIシフトで社員の創造的な仕事を増やす。
- 長期的視点でAI時代の変革に備えつつ、人間らしい感動やスポーツのような“リアル”への価値提供も重視。
人材・組織へのインパクト
- エンジニア不要論への見解
- 「エンジニア不要」は極端で、むしろAIを使いこなすエンジニアや専門家の需要は高まる。
- AI×業界知識の掛け算で新たなサービスが生まれるため、業務知識・データ・顧客基盤を持つ人材も重要度アップ。
- 指示通りに動くAIが普及しても、「何を目指し、どう行動するか」という“起点力”を持つ人間が不可欠。
- 教育の再構築の必要性
- 日本の教育は「パターン学習」「正解を当てる」ことに偏りがち。
- AI時代には“問いを立て、創造性や主体性を発揮する”人材がますます求められる。
会長からのメッセージ
- 今こそAIの波に乗るべきタイミング
- 78兆円クラスの巨人だけが主役ではなく、誰にでもビジネス機会がある。
- 現在はAGI(汎用人工知能)・ASI(超知能)へ至るステップの途中段階であり、今スタートすれば十分参入余地がある。
- 個人としての挑戦意欲
- 高齢化社会でもAIエージェントをフル活用すれば「10倍以上」の仕事が可能になる。
- 「やりたいことがあったら、AIを使いこなして全部やりきる」──その姿勢で経営者自身も未来を切り開いていく。
AIを単なる効率化の手段として見るのではなく、「10人でユニコーンを生み出せる」ほどの破壊的な生産性の向上や、新規事業創出の大きなチャンスと捉えています。DeNAとしてはアプリケーションレイヤーを中心に「AI×業界知識」を掛け合わせ、M&Aやスピンアウトも駆使しながら“第2の創業”とも呼べる大規模な変革を進める方針です。
この講演が示すのは、トップが自らAIツールを使い倒して興奮を共有し、組織全体を巻き込むことの重要性。そして、AIがもたらす変革に「今」こそ本気で飛び込むことで、企業も個人も大きな成長機会を得られるというメッセージです。



