2025年、ChatGPTやGeminiが人間と自然に会話し、コードを書き、文章を生成する時代に、AppleのSiriは「まだAI機能が実装されていない」という…。
「Appleはプライバシーを重視してるから」という意見がある。
確かにそれは一因ですが、それだけじゃないようです。AppleのAI戦略は、慎重な選択の積み重ねと、決断しなかったことによる“遅れ”が発生している。
1. 「慎重な企業文化」が開発スピードを殺した
Appleは一貫してプライバシーを重視してきた。
ユーザーデータをクラウドに送らず、基本はデバイス上で処理する「オンデバイス主義」を貫いている。
Apple Intelligenceでも、その方針は変わらなかった。
安全性を最優先し、「Private Cloud Compute」という独自の安全クラウドを構築するという徹底ぶり。
倫理的には素晴らしいが、ビジネスと技術の観点では、致命的な遅れにつながった。
- 学習に使えるデータ量が少ない
- モデルの進化が遅れる
- プロダクト化のスピードが落ちる
「安全にやるために時間がかかる」は、言い訳にならない。
GoogleやMetaもプライバシーリスクを管理しながら前に進んでいる。Appleだけが止まっている。
2. 技術が足りない。というより「経営の失敗」
AppleがAIに本腰を入れたのは2018年頃からですが、Siriの基盤技術を10年以上も更新せず、自社LLMの開発も遅れ、AI人材の確保も中途半端。
これ、技術力がないからじゃない。
「AIは本質的な経営課題だ」と認識しなかった、経営判断ミスだ。
- Siriを放置した
- 買収を見送った
- 人材への投資が後手に回った
2015〜2020年、Appleには何度も“AI転換”のチャンスがあった。
それを活かせなかったツケが、今になって跳ね返っている。
3. 「外部AIを包むだけ」では限界がある
Appleは今、OpenAIやGoogleとの提携を進めている。ChatGPTをSiriに統合するという噂も現実になってきた。
AI時代における競争の本質は、「誰が体験の主導権を握るか」なので、もしSiriが単なるChatGPTのフロントエンドになれば、ユーザーはiPhoneである必要がなくなるかもしれないが、個人的にはChatGPTとSiriの統合には期待。
Appleの価値は、デザインでも性能でもなく「Appleにしかない体験(UX)」にある。
AIも同じ。“Apple流”で再構築されたAI体験でなければ、ブランドの意味がなくなる。
昔のソニーに似てる気がする。
この記事の要約
| 要因 | 内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 慎重な企業文化 | オンデバイス主義、プライバシー最優先 | 開発スピードが遅くなる |
| 経営判断の遅れ | AI投資、人材育成、買収が後手 | 技術的に周回遅れになる |
| 外部AI依存 | ChatGPTをSiriに統合 | UX主導権を失うリスク |



