エクセルデータの復旧作業(SSD編)覚え書き

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久しぶりにエクセルデータの復旧作業を行いました。現在のSSD環境では従来よりも難易度が高くなっているため、備忘録として手順と注意点をまとめておきます。今回は、「Recuva」で復旧できました。

【原則】
  • C:(内蔵SSD)には一切書き込まないこと。
    復元ツール本体や復元先フォルダは、必ず**外付けドライブ(例:E:\)**に配置してください。なお、コマンドプロンプトの起動など、最低限の操作は避けられませんが、復旧作業中の不要な操作は極力控えるのが鉄則です。
  • できるだけ早期に復旧作業へ移行し、検索対象を絞り、ファイル名ではなくファイルの中身(署名)を頼りに探す方針に切り替えます。

【準備】
  1. 外付けドライブにフォルダを作成:
     例:E:\Tools\(ツール置き場)、E:\recovered\(復元先)
  2. スタート → 検索「cmd」→ コマンドプロンプトを右クリック → 管理者として実行

【Windows File Recovery(公式ツール)による検索】
● 文字コードのエラー対策

chcp 65001(エラー時は chcp 932 に戻す)

● ファイル名が分かっている場合(例:「落書きメモ帳」)

winfr C: E:\recovered /extensive /n "*落書きメモ帳*.xls*"

● 名前が曖昧な場合 → フォルダ×拡張子で狙い撃ち

  • ドキュメントフォルダ内のExcel:
winfr C: E:\recovered /extensive /n "%USERPROFILE%\Documents\" /n *.xls*
  • デスクトップ内のExcel:
winfr C: E:\recovered /extensive /n "%USERPROFILE%\Desktop\" /n *.xls*

● 復元後の確認

E:\recovered\Recovery_… の更新日時でソートし、Excelで開けるか確認します。

【検索結果が出ない/少ないときの対処】
  • Ctrl + C で中断 → 対象フォルダを1つに絞る、拡張子も *.xls* のみに限定して再挑戦します。
  • 復元先はUSB3.0直挿しの外付けSSD/HDDが推奨です(USBメモリは速度・安定性に難あり)。
  • Windowsセキュリティのリアルタイム保護は、復元先フォルダのみ一時的に除外(作業後に元に戻してください)。
【中身(署名)で拾う戦略:GUIツールでの復旧】

ファイル名が消えていても、Excel形式の**署名(中身)**が検出できる場合があります。

■ Recuva(無料)

  • ポータブル版を外付けから起動
  • 種類=ドキュメント/場所=C:/Deep Scan ON
  • 検索ワード:xls*
  • プレビューで中身が読めるファイルのみ E:\recovered\ に保存

■ R-Studio(有償、体験版でプレビュー可)

  • Scan時に「Office/ZIP署名」を有効に
  • “Files found by signatures”から xlsx をプレビュー → 必要ファイルを外付けへ保存

■ PhotoRec(無料)

  • Office/ZIP形式のみを有効にして署名カービング
  • ファイル名は失われることが多いが、中身で判断可能
【ファイルの所在を特定する手がかり】

「最近使ったファイル」から保存場所を推定できます。

  • エクスプローラーで %AppData%\Microsoft\Windows\Recent\ にアクセス
  • .lnk ファイルを右クリック → プロパティ → リンク先を確認
  • そのフォルダを /n オプションで直接指定し、絞り込んだ検索を行います
【なぜSSDでは復元が難しいのか】
  • TRIM:削除直後にSSDが空き領域を上書きするため、痕跡が物理的に残りにくい
  • ウェアレベリング:書き込みが分散し、断片が飛び飛びに保存される
  • 管理情報の再利用:ファイル名などが先に消滅しやすく、名前検索にヒットしにくい

→ そのため**「名前がダメなら中身で拾う」戦略が必要**となります。

【最終手段】
  • これ以上C:に触れたくない場合 → ディスク全体のイメージを外付けに読み取り専用で作成
  • そのイメージを R-Studio や PhotoRec で解析

※ TRIMが働いていた場合は、民生向けツールでの復旧は困難であり、専門業者への依頼を検討すべきです。


【再発防止:1分でできる対策】
  • Excel → ファイル → オプション → 保存 → 自動回復ON/5分間隔に設定
  • ドキュメント/デスクトップはクラウド同期ファイル履歴機能で定期バックアップ
  • 自動回復ファイルの場所を把握しておく:
%LocalAppData%\Microsoft\Office\UnsavedFiles\
%AppData%\Microsoft\Excel\

※ 自動回復はクラッシュや強制終了時には効果的ですが、手動削除や上書きには対応しない場合があります。


【覚えておく三か条】
  1. 止める・外付け・早め(C:には絶対に書かない)
  2. 名前で見つからなければ中身(署名+日付+サイズ)で拾う
  3. 次は探さない工夫(自動保存+定期バックアップ)を仕込む
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