DeNA、おそらく一番AIを利用している会社ではないだろうか?こちらの記事のまとめ
― 人事AIが教えてくれた“人間の価値”とは?
「AIを入れたら、仕事が全部ラクになる!」
そんな言葉に心惹かれた方も多いでしょう。とくに業務が複雑で属人化しがちな「人事」において、AIが救世主になる――そんな未来を想像したことがある人事担当者は少なくないはずです。
しかし、DeNAが1年間かけて実験した現場の声から見えてきたのは、**「AIは魔法ではなかった」**という冷静な現実でした。
期待されていた未来
- AIが社員の最適配属を自動で決定
- 目標設定から評価まで全自動化
- 360度評価も一瞬で分析してレポート
いわば、「人事における万能なアシスタント」が現れることを、多くの人が期待していたのです。
でも実際は…
- 配属AI → 提案は無難なものばかり。ただ、ときどき面白い組み合わせも出す。
- データ準備 → 想像以上に大変。AIを動かす以前に“整える作業”が膨大。
- 権限管理 → セキュリティや情報共有の設計が複雑で、導入コスト高。
つまり、「AIがすべてやってくれる時代」はまだ来ていない。
むしろ、AIを使いこなすには、“人間側の仕事”が増える側面もあるという逆説的な事実が明らかになったのです。
それでも、AIは“使える”
この実験の本質的な成果は、「AIにできること、できないこと」が、ようやく現実的な線引きで見えてきたことです。
目標設定
ぼんやりとした「がんばります」的な目標を、AIが数字や行動に落とし込んでくれる。
→ 結果、会議時間が短縮され、対話も明確に。
360度評価
アンケートのコメント群から、AIが要点を抽出し、改善アドバイスも提示。
→ 全部を人が読む必要がなくなり、フィードバックの質が向上。
配属案の提案
人間が見落としがちな組み合わせを提示することがあり、
→ **「なるほど、そういう視点もあったか」**という気づきが得られる。
人事AI実験が教えてくれた“真実”
今回のDeNAの取り組みが示唆するのは、こうした現実です。
- AIは「代行者」ではなく、「賢い道具」
- 丸投げでは機能せず、「人間の準備」が必須
- 最後の判断は、あくまで人間が下すべき
AIにできることは、「整理」「分析」「提案」。でも、“決断”と“共感”は人間にしかできない。
初心者に伝えたい、AIとの付き合い方
AIを「魔法の杖」だと思うと、必ずガッカリします。
けれど、「賢い電卓」「気の利く秘書」と捉えると、ちょうどいい距離感が見えてきます。
人間の知恵と、AIの処理能力。
両方が噛み合えば、新しい可能性が生まれる。問題は、「どこまでAIに任せるか?」ではなく、
「どこまでAIに任せてもいいように、人間が準備できるか?」です。
「動けば、必ず答えがある」
AI導入も同じで、使ってみて初めて“現実的な期待値”がわかります。いつまでも導入にさえ二の足を踏んでいる会社も多いです。
完璧を求めるのではなく、まず使って“うまく付き合う方法”を見つけることが、これからのAI活用における鍵になります。



