研修時でのお話。職場で若手やAIに業務を任せる場面が増え、「最近は若手やAIに業務を任せる機会が増えてきて、自分はもう前に出なくていいのかもしれない」と感じていたそうです。
若手は新しいツールをすばやく使いこなし、AIは瞬時に答えを出してくれる。業務は効率的に回っているように見えます。
けれど、その一方で、どこか“浅さ”のようなものを感じる場面もあったといいます。
たしかに目の前の成果は出ている。
でもそこには「考えの深さ」や「人間らしい意味」が欠けているような違和感があった――そう語っていました。これはまさに、多くのベテランが直面している本質的な問題です。
AIに任せるのはあくまで“手段”に過ぎません。
本当の価値は、「人間が考え、感じ、決める」というプロセスにあります。
ベテランには、豊かな経験と知識があります。
失敗も、成功も、人との関係も――それらの積み重ねは、単なる過去ではなく、「深さ」というかけがえのない資産です。
「なぜ、それをするのか」
「それは、誰のためなのか」
こうした問いを投げかけられるのは、ベテラン世代ならではの強みです。
今こそ、ベテランが「導く力」を発揮するときです
これからの時代に求められるのは、「手を動かす人」ではなく、「導く人」。
ディレクターやプロデューサーのように、ビジョンを描き、方向を示し、人やAIの力を編集・統合して成果を導く。そんな力が必要とされています。
たとえば…
- チームに「なぜそれをやるのか」を伝える
- プロジェクトの本質的な目的を見抜く
- 提案や成果物を意味のある形に整える
こうした“見えない力”こそ、ベテランが磨いてきたものではないでしょうか。
それは特別な才能ではありません。日々の中で、以下の3つを意識することから始まります。
- 観察すること:人の動き、社会の流れ、本質を見つめる目を持つ
- 問いを持つこと:「なぜ?」と立ち止まって考える習慣
- 構想すること:こうなったらいい、を自由に描く想像力
この3つの感覚は、キャリアを重ねた人にこそ馴染むものです。そして、それはきっと若手にもAIにも真似できない“人間の知性”です。
ですが!AIを知らずして、今の時代のディレクションはできません。
だからこそ、AIは“使えるようになる”のではなく、“使いこなす”必要があります。
ディレクター、プロデューサーとして、次のステージへ。
50代からが、むしろ面白くなるんです。
そのためにも、「ツールとしてのAI」を味方につけましょうとお話ししました。



