ある医師が、腹腔鏡手術の技術向上を目指して始めた、非常にユニークなトレーニング法があります。
それは、実際の手術で使用する鉗子を用いて、折り鶴を折るというものです。
この医師は、ある試験で「腹腔鏡鉗子の操作が不十分」と評価されたことをきっかけに、技術の鍛錬としてこのトレーニングを始めました。「手術の技術とは関係ない」という批判もあたそうですが以来、1万羽以上の折り鶴を折り続け、今では1羽をわずか1分38秒で折るという、驚異的なスピードにまで達しています。結果「人には真似できない動きが可能になったそうです」
この取り組みはAIや新しい技術の習得にも通じる深い示唆を含んでいます。
技術を「知る」ことと、「できる」ようになることは、まったく異なる次元の話です。
単に知識を持っているだけでは、技術とは呼べません。実際に使い、試行錯誤を重ね、身体に馴染ませて初めて、それは自分の力となります。
これはAI活用においても同様です。触れずにいては、決して上達しません。まずは使ってみること。失敗を恐れずに続けること。AIの癖を読むこと。それこそが、AI技術を身につけるための本質的なプロセスです。
「まず使う → 工夫する → 会得する」
この段階を一歩ずつ積み重ねることが、やがて誰にも真似できない高度なスキルや知恵へとつながっていくと考えています。
