藤井聡太竜王・名人が「今年ハマったもの」として挙げたのが“バイブコーディング”。
バイブコーディングとは、英語のスラング「雰囲気・ノリ・気分」などを意味するバイブ(vibe)とコードを書くこと(coding)を組み合わせた造語。 その場の「気分」をもとにAIに指示して生成されたコードを試しながら磨く開発手法のことを指します。
本人も「プログラミングの知識はないが、欲しいものを伝えるといい感じにできる」趣旨で話したと報じられています。
では、藤井さんは具体的に何をしているのか。将棋関係の取材記事では、藤井さんが「スマホから自宅PCで動かしている将棋エンジンで検討できるようなものを作った」と紹介されています。
要するに、外出先でも研究環境へアクセスできる“自分専用の導線”を、生成AIと会話しながら整備しているイメージです。
実際の使い方は、だいたい次の流れではないかと推測されます。
まず自宅PC側に将棋エンジン(解析AI)を常駐させ、局面の入力や解析の実行、結果表示を受け持たせます。
次にスマホ側から、そのPCに接続して「局面を送る→解析させる→最善手や評価値、読み筋を受け取る」という往復を作ります。接続の実装は、遠隔操作(リモートデスクトップ)でも可能ですが、バイブコーディングの旨味が出るのは、スマホ用の簡単な画面(Webページ等)を用意して、ボタン操作で検討を回せるようにする形でしょう。
ポイントは「作りたい機能を小さく分解して、AIに順番に作らせる」ことです。
たとえば
①局面データを送る、
②PC側で解析を開始する、
③結果を整形して返す、
④スマホで見やすく表示する、
といった具合に、モジュール単位で生成AIと詰めていけば、プログラミング経験が薄くても“動くもの”に到達しやすい。将棋で言えば、いきなり終盤の必殺技を狙うのではなく、手筋を積み上げて勝ち筋を作る感覚に近いのかもしれません。
将棋AIを研究に使う棋士は珍しくありませんが、藤井さんの場合は「AIで研究する」だけでなく、「AIで研究環境を自分仕様に組み替える」段階に踏み込んでいるのではないでしょうか。
将棋が強くなる“直接の魔法”ではなくても、研究の速度と快適さを上げる道具を自作できるなら、長期的には武器になります。AIを“相手”として読むだけでなく、“道具職人”として使う。これが藤井聡太さんのバイブコーディング。





