AIが同じ指示(プロンプト)に対して毎回違う答えを返してくる理由

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AIが同じ指示(プロンプト)に対して毎回違う答えを返してくるのは、主に「確率的にテキストを生成している」ためです。その意図や背景を、大きく3つのポイントで整理します。


  1. モデルが「次に来る単語」を確率分布で決めている
    • 大規模言語モデルは、直前までの文脈から「次に最もふさわしい単語」を単一選択するのではなく、複数の候補に確率を割り振り(例:“猫”が30%、“犬”が25%…)ランダムにサンプリングします。
    • このプロセスにより、同じ入力でも異なる単語の組み合わせが選ばれることがあるため、結果として出力も毎回微妙に変わります。
  2. 「温度(temperature)」や「トップP(nucleus sampling)」といった設定による制御
    • Temperature:値を上げるほど確率分布が平坦になり(ランダム性↑)、低くすると確率の高い語がますます選ばれやすくなる(決定論的に近づく)。
    • Top-P:確率の高い上位何%かの語のみからサンプリングする手法で、多様性を保ちつつ、極端な低確率語を排除できる。
    • ChatGPTのデフォルト設定では、創造性と一貫性のバランスを取るため、これらがほどよい値に調整されています。
  3. 「多様な視点・表現」を提供するための設計意図
    • 飽きさせない:同じ質問に毎回まったく同じ答えだと、会話が単調になりやすい。いくつかの言い回しや例を変えることで、ユーザーに新たな気づきを与えられます。
    • 創造性の発揮:固定的な回答だけでなく、モデル自身が思いつく幅広いアイデアや切り口を提示できるようにするため。
    • 曖昧さへの柔軟対応:同じ指示文でも、ユーザーの意図を多面的に解釈し、「こんな答えも考えられますよ」といった複数パターンを示すことが可能になります。
同じ答えを得たいときは?
  • Temperature を 0 に設定すると、最も確率の高い語を常に選ぶようになり、原理的には同じプロンプトで同じ出力が返ってきやすくなります。
  • ChatGPTの標準インターフェースでは直接変えられませんが、Gogle AI STUDIOやAPIを使う場合は temperature=0 を指定して実行することで、決定論的な応答が可能です。

AIがあえて「毎回少しずつ違う答えを出す」のは、確率的生成による多様性や創造性を活かし、対話を豊かにするための設計上の意図です。もし一貫した回答が必要なシーンでは、Temperatureを下げるなどの設定変更が有効になります。

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