SNSで知った人:詳しく知りたいと思いYouTubeを何本かAIで書き出しAIまとめてみた。
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■「社会とつながるための技術」を、人生のど真ん中に
「もし寝たきりになったら、働きたいと思える空間って、今の世の中にあるだろうか?」
そんな問いから始まったのが、吉藤オリィさんが代表を務めるオリィ研究所。
そこで生まれたのが、遠隔操作で社会参加ができる**分身ロボット『OriHime』**です。
分身ロボットを使って働く「分身ロボットカフェ」には、今や月に5000人もの来客があり、接客を行う“パイロット”の多くが、寝たきりや身体障害のある人たち。
彼らが自宅から遠隔で操作し、リアルな対話と役割を持って社会に関わっているのです。
しかしこの未来は、テクノロジーから生まれたのではなく、孤独と無力感に満ちた過去から始まりました。
■ 小学生で不登校、孤独と“笑い方を忘れる”日々
吉藤さんは、小学5年から中学2年までの約3年半、不登校でした。
きっかけはたった2週間の欠席。しかしそこから学校に戻ることができず、笑うことも、友達をつくることもできなくなっていきました。
彼の言葉で印象的なのが、
「気がついたら、ベランダの手すりの上に立ってた」
という一節。それほどまでに、**「自分はいない方がいい」**という思考に追い詰められていたのです。
当時の父は、同じ中学校に勤める熱血教師。妹も同じ中学に入学し、家族4人のうち3人が同じ学校という状況で、吉藤さんはますます居場所を失っていきます。
■ 折り紙がつないだ、“ありがとう”という言葉
唯一の癒しが「折り紙」でした。
折り紙をプレゼントすると「ありがとう」と言ってもらえる。人と交われる。それが唯一の社会との接点でした。
彼が創作した「吉藤ローズ」というバラの折り紙は、今も象徴的に語られます。
そんな中、母親が言い放ったのがこの言葉。
「折り紙ができるなら、ロボットも作れるでしょ?」
――意味が分からなかったけれど、言われるがままにロボットの大会に申し込んだところ、奇跡が起きます。
なんと40人中39人が失格し、残った1人として優勝。
翌年の全国大会では準優勝を果たし、「頑張れば報われる」という初めての達成感を得ました。
■ 「孤独が人を殺す」ことを、実感として知っていた
高校3年のとき、彼は孤独というストレスが人間を壊すことを強く確信します。
「この問題に一生をかけて取り組める」と思えたのが、この“孤独”というテーマ。
当初は、「人工知能(AI)」を使って解決できないかと考えました。
しかし思い直します。
「もしあのとき、AIがそばにいても自分は救われたか? たぶん、違う」
彼を傷つけたのも人間。
でも、支えてくれたのも「人間」でした。だからこそ、必要なのは「人と人をつなぐテクノロジー」だと確信したのです。
■ もうひとつの体としての「OriHime」
こうして生まれたのが、遠隔操作型の分身ロボット「OriHime」。
自宅にいながらリアル空間に存在できる、“もうひとつの体”です。
学校に通えなかった自分が、もう一つの体で授業に出られたら?
友達をつくることができたら?――それを他の誰かに提供するための技術でもありました。
実際に分身ロボットカフェでは、
- 外出ができない人が自宅から接客
- 難病の方が「このインターフェースなら話せる」と笑顔に
- 働く経験がなかった人たちが、社会参加できた喜びを感じている
こうした事例が積み重なり、「これは一過性の実験ではない」と確信するに至ります。
■ ビジネスにしたのは「死んでも残る仕組み」のため
ただ、最初からビジネス化を考えていたわけではありません。
吉藤さん自身、当初は研究者として大学に残るか、どこかの企業で商品開発を続けるか――そんな選択肢を思い描いていました。
しかし、ある知人からこう言われます。
「死んだあとも続けたいなら、それはビジネスにするしかない」
それでハッと気づきます。
助成金や研究費に頼るだけでは、自分がいなくなったとき、必要な人に届かなくなると。
そうして、持続可能な仕組みとしてビジネス化を選択。
「ビジネスの“ビ”の字も知らなかった」と振り返りながらも、生きる理由を他者に残すために起業という道を選んだのです。
■ 技術者である前に、人間の尊厳を問い続ける人
今や吉藤さんは、開発、経営、接客まで自らこなします。
「社長がコーヒー入れて、案内して、玄関出迎えて――バンダイのルーターの秘書より私の方が人間らしいじゃないか(笑)」
そう語るように、彼にとってテクノロジーは目的ではなく、人間が人間らしく生きるための手段です。
■ 「未完成な社会」だから、未熟な自分にもできることがある
不登校だったあの頃は、「社会は完成されていて、自分には何もできない」と感じていた吉藤さん。
でも今は、180度違う価値観で語ります。
「世の中は未完成なものだらけ。だからこそ、未熟な我々にもできることがある」
これは、就職活動に悩む若者にとっても響く言葉です。
「“何者か”にならなくていい。未完成のままで、居場所はある」
■ 孤独に効く「もうひとつの体」は、生きる理由
最後に、彼は自身の仕事についてこう語ります。
「これは単純に“生きる理由”なんです。いや、“死なない理由”かもしれません」
何もしなければ、辛さは蓄積し、孤独に押し潰される。
だからこそ、「社会とつながり続けられる場」をつくり続ける。
それが、吉藤オリィという人間の根っこであり、彼が生み出すテクノロジーの本質。
