最近はGeminiの機能向上もあり、利用する機会が増えてきましたが、それでも私はChatGPTを使い続けています。
その理由のひとつは、ChatGPTを継続的に利用していると、以前の会話内容が自然に参照されたり、自分の口調や関心が反映された応答が返ってきたりする点にあります。
こうした体験の背景には、ChatGPTが持つ独自の記憶構造が大きく関係していると感じています。
具体的には、ChatGPTには以下の2種類の記憶システムが実装されています。
- メモリー(保存メモ)
ユーザーが明示的に覚えさせた情報(例:趣味、職業、トーンなど)。「メモリー」画面で確認・編集・削除が可能です。 - 会話履歴参照(Chat History Reference)
チャットごとの履歴を文脈として自動的に活用する仕組み。プロジェクトや話題が継続する場面で自然な文脈保持を実現します。
ChatGPTでは、「覚えさせた情報」と過去の会話履歴が両方活用されることで、ユーザーとのやり取りが一回きりではなく、続きのある関係として成り立つようになっています。
さらに、こうした記憶の仕組みは、画面上でもしっかり確認・操作できるようになっています。
ユーザーは「どんな情報を覚えているか」「どれを消すか」「一時的に記憶させないようにするか」といったことを、自分で簡単にコントロールできるようになっているのです。
他のLLMと何が違うのでしょうか?
Claude(Anthropic)やGemini(Google)など、他の大規模言語モデルにも記憶機能や個人化の仕組みは備わっています。
ただし、それらの多くは機能としては存在していても、「今どんな記憶が使われているか」がユーザーからは見えにくいつくりになっています。
たとえば──
- 記憶が有効になるための前提条件が複雑(地域やアカウントの制限、プランによる違いなど)
- 会話中にどの情報が参照されているのかが、画面上からは分からない
- 記憶のON/OFFや編集の自由度があまり高くない
このように、**「記憶機能は一応あるけれど、ユーザーからはその働きが見えにくい」**という設計のモデルが多いため、使い続けるうえでの信頼感や操作しやすさには差が出てきます。
記憶と履歴がうまく組み合わさった設計が生むもの
ChatGPTの「記憶まわりの設計」には、大きく3つの特徴があります。
- 見えること(可観測性)
何が記憶されているかを、自分の目でちゃんと確認できる - 消せること(可逆性)
一時チャットを使ったり設定を変えたりすることで、「これは覚えないで」と伝えられる - 整理できること(構造化)
Projects機能を使えば、記憶の対象を案件ごとに分けておくこともできる
こうした機能がそろっているおかげで、ChatGPTは「ただ勝手に覚えるAI」ではなく、「記憶をこちらの意図でコントロールできるAI」として使えるようになっているので、仕事で使う場面でも安心して任せられる存在にもなっている。
だからChatGPTから“移りにくい”
ChatGPTでは、会話の積み重ねがそのまま文脈として活かされていく感覚があります。
やりとりの内容が自然に引き継がれていくので、使えば使うほど、自分にとって使いやすい状態に育っていくのです。
他のLLM──たとえばGeminiなど──にも記憶の仕組みはありますが、何を覚えていて、どのように使われているのかが見えにくく、文脈がつながりにくい場面もあります。
そう考えると、ChatGPTで積み重ねてきた会話の流れを、簡単には手放せないという感覚が自然と生まれてくるのかもしれません。



