Googleの生成AI「Gemini」に関する紹介動画を見て、「これ一つでスライドが作れるのか」と期待された方から講習のご依頼。動画で紹介されている操作が非常にスムーズで魅力的です。

しかし、実際に試してみると「思ったように使えない」。たとえば、Google Workspaceを契約していない方や、GeminiのPro版を使っていない方の環境では、同じような結果は得られませんでした。これは以下のような理由によります。。

誤解を生みやすいポイント
- 契約前提の曖昧さ
一部のインフルエンサーが紹介する動画では、Google Workspace(有料)の契約が必要な機能について、あたかも誰でも無料で使えるかのように表現されることがあります。 - 環境の違い
動画制作者が英語UIを使っていたり、特定の拡張機能やProアカウントで操作している場合、視聴者の環境とは異なり、同様の動作が再現できないことがあります。 - 機能のアップデート頻度
GeminiやGoogle Slidesは頻繁にアップデートが行われており、動画公開時の仕様と現在の仕様にズレが生じることもあります。 - 理想と現実のギャップ
派手な動画演出に対して、実際には「構成案をGeminiで生成し、スライドは手動で整える」といったレベルの作業しかできないケースも少なくありません。
利用にあたって心がけたいこと
Googleはこれまで、広告収益モデルを軸に発展してきましたが、クラウドやAI領域においては、以下のような戦略が繰り返されています。
- 無料で入口を広げる
- 利用者の依存度を高める
- 後から有料化する
このパターンは、過去の以下の事例にも見られます。
Google Workspace(旧G Suite)
教育機関や個人向けに長年無料で提供されていましたが、2022年に無料プランを終了し、有料化されました。
Google Reader・Inbox
一部に熱心なユーザーがいたものの、競合がいなくなり、役目を終えたと判断されたタイミングで突然終了。
Google Photos
当初は「容量無制限・無料」として大人気でしたが、2021年に無料無制限を終了。すでに大量の写真を預けていたユーザーにとっては、他サービスへ移行しにくい状況での課金移行でした。
Googleとの賢い付き合い方
こうした流れを踏まえると、私たちユーザーは以下の点を意識しておくべきでしょう。
「無料はずっと無料ではない」と想定する
サービス導入時から、有料化の可能性を視野に入れておくことで、いざという時の判断が冷静に行えます。
データの出口を常に確保しておく
エクスポート機能が備わっているか、事前に確認しましょう。
代替サービスを頭の片隅に置いておく
Dropbox、iCloud、OneDrive、自前NASなど、すぐに移行できる選択肢を意識しておくと安心です。



