AIを導入する前に「第三者として判断してください」という依頼を受け、ある打ち合わせに立ち会いました。
私が感じたのは─
これは“現場の課題”から出てきた解決策ではなく、
AIシステムを売る業者側が用意した“教材リスト”をなぞっているだけでは?
という違和感でした。
便利そうなアイデア。でも本当に必要?
会議の中では、こんな提案が飛び交っていました。
- 「交通費チェックをAIで!」
- 「発注書の作成をAIで自動化!」
- 「ZapierでAPI連携しましょう!」
一見、どれも便利そうです。ですが、その裏には大きな思い込みがあります。
それ、“AIでやる必要”ありますか?
「交通費チェック」なら、そもそも交通費精算の仕組みを見直した方がいいかもしれません。
「発注書の自動化」も、発注フロー自体をシステム化した方が根本的です。
「API連携」も、そもそもIT人材がいない中小企業では運用が続かない可能性大。
つまり、手段(AI)に引っ張られて、課題が見えていない。
なぜこうなるのか?
原因は明白です。
- AIリテラシーの低さ
- 現場を見ずに作られた“AIカリキュラムの押し売り”
今回は、導入側の論理が前面に出て、「現場のペイン」や「本当に困っていること」が置き去りにされていました。
AI導入、まずここを確認!
1. 現場の“困っていること”を丁寧に聞き出しているか?
ヒアリングの中でこそ、本当の課題が見えてきます。
2. AI以外の方法も選択肢に入れているか?
業務フローの改善、マニュアルの整備、外注など「もっと地に足がついた手段」は他にもあります。
3. 導入コスト・教育コスト・運用体制まで見通しているか?
「導入して終わり」ではなく「回る仕組み」があるかが鍵です。そもそも資料のデータ化さえできていないなど「導入前の準備」が必要なユーザーもいます。


AIは手段。課題を見極める力が“導入成功”の分かれ道
AIはたしかに便利なツールです。
ですが、「とにかく便利」という理由や「補助金出るから」といっただけで導入しても、うまくいきません。むしろ現場に混乱を招き、結果的に「AIは使えない」というレッテルを貼られてしまうことも。
AI導入は「目的」ではなく、「課題解決のための手段」です。
順番を間違えると、本来の目的も見失ってしまいます。
- 「本当に困っているのは何か?」
- 「それはAIで解決すべきことか?」
まずはこの問いから、丁寧に始めて役立たせる物をきちんと導入してみてはいかがでしょうか?



